重複診療は医療費のむだ遣い

  • 解説

ハシゴ受診は医療費増を招く

重複診療とは、ある病気で、同時に複数の医療機関にかかることをいいます。初めにかかった医師の診断や治療に納得できなくて、別の医師を訪れるというのはいいほうで、なかには次から次へと病院の“ハシゴ”をする人もいます。

患者にとってマイナス

重複診療は患者にとって大きなマイナスとなります。

医師は患者の訴えや症状によって検査や治療をしますが、病院を転々としてしまうと、それまでの治療は中断し、次の病院ではまた検査からやり直さなくてはならない恐れもあります。これでは肝心の病気をかえって長引かせてしまうことにもなるのです。

危険な注射や薬のダブリ

薬・注射の重複による弊害も心配されます。一般に医師が扱う薬は、市販薬より強い薬効を示すものが使われていますから、重複診療で必要以上の注射をされたり、双方の医師から出された薬を服用するのは非常に危険です。

医師の治療などにどうしても納得できないときには、そのことを医師に伝えて話し合ってみましょう。もし転院することになっても、治療データを提供してもらえれば、次の診療で検査や薬の重複という危険が避けられます。

歯科で材料だけを依頼し型を取っただけで、そのまま次回行かれない方がみえます。このような場合、材料費が健康保険組合に請求され、全く無駄な医療費になります。

さらにこうした行為は、いたずらに医療費を増やしてしまいます。たとえば、同じ症状で1日に2軒の医院にかかった場合、患者はわずかな費用を負担するだけですみますが、健康保険組合には2つの医院から費用請求がまわってきます。それぞれの医院では、同じ症状に対しては同じ診察が行われますから、通常の倍の額が請求されることになるわけです。

こんなむだな医療費のために「病気になったときにこそ手厚い給付を」という健康保険の本来の機能が失われるようなことがあってはなりません。